「向こう5年で50モデルを投入」の裏側に見えるものとは

「向こう5年で50モデルを投入」の裏側に見えるものとは

さて、今日は、2月3日にフェイスブックページでご紹介した「ハーレー社が向こう5年間で50機種の新モデルを投入か」という、アメリカのアメリカン モーターサイクル デザイン(American Motorcycle Design)の記事をご紹介した投稿の解説です。

http://americanmotorcycledesign.blogspot.jp/2017/02/harley-davidson.html

 

向こう5年間で50機種!

 

今日本に導入されているのが32機種ですから、まあ、これらがそのまま新世代モデルに代替わりしただけでも6割強はカバーされちゃう訳ですが。

それを差し引いたとしても20機種近くの新型が出てくる、という話になります。

これの意味するところは何か?

 

ハーレーダビッドソン社の現社長、マット レバティッチ氏のコメントは、2月1日に公表された同社の2016年第4四半期、並びに通年の決算報告に合わせて出されているものです。

決算の結果は以下のとおり。

まずは決算報告書。過去3期と対比できるように加工してあります(データはハーレーダビッドソン本社ホームページより。金額の単位は1,000ドル。字が小さいんで拡大して見てくださいね。ゴメンナサイ!)

 

次いで、主要市場別の販売台数、部門別売り上げ、連結するファイナンシャル サービスの実績サマリー

 

非常にざっくり言うと、2015年、2016年と2期連続の減収減益な訳です。

2016年に関して言うと、最も大きな理由は本国アメリカの業績不振。

これに関して、同社は、アメリカ大統領選挙による先行き不透明感と、世界的な経済の不調による、と分析しています。

因みに、2016年、乗用車の北米市場は、メーカーによる凸凹はあるものの、0.4%の+成長でした。

(https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_usa_2016)

 

全世界的に、いわゆる成熟市場(北米、ヨーロッパ、日本、等)では昨今、モーターサイクルユーザーの高齢化が問題視され、各メーカー「新規ユーザー、特に若者層の取り込み」に躍起になっています。

ハーレーダビッドソン社は、この対応策とし、ディーラーで「ライダートレーニング」という運転免許教習プログラムを実施。ご紹介した記事でも「65,000人の新しいライダーの育成に成功した」と公表。ハーレーは、モーターサイクルだけでなく、ライダーをも生み出すビジネスなのだ、と強調。

そして、こうした流れの中、向こう5年間で50機種の新モデルを導入し、「人々のハーレーに対するイメージを刷新する」としています。

 

具体的には、「新しいセグメントへの参入」。要は、今までのいわゆる「アメリカン」に特化した路線を捨て、多様な機種の開発に踏み出す訳です。「ハーレーは全ての顧客領域における競争力を身に付けるべきである。」スポーツバイクとか、アドベンチャー、オフロード、といった分野への進出が想像されます。

更には、「新型機種に関しては、小型クルーザーマーケットへの進出が生命線である」とも発言。大型にこだわらず、小排気量モデル市場への参入も匂わせている。

 

二輪での成功事例としては、数年前からBMWは、それまでの高速大型ツアラーのブランドイメージを捨て去り、ネイキッドやスポーツ、さらにはハーレーの牙城だったカスタム領域に進出。見事なまでに販売台数の増強と、ユーザーの若返りに成功しました。昨年は新興市場向けと思われる310ccの小排気量モデルや、電動スクーター等の新型を投入、さらなるユーザー層へのアプローチを強めています。

 

減収減益が続くニューヨーク証券取引所上場企業にとって、こうした打開策の公表は非常に大きい。何としても投資家達に将来の成長をイメージさせる戦略を打ち出して行かざるを得ない。

先の重役達のホワイトハウス訪問も、その後のハーレー社のツイッターやフェイスブックページには反対派による「もう手放してやる!」とか、「次は買わない!」、果てまた「燃やす!」なんて過激なコメントが後を絶ちませんが、アメリカ企業の保護を標榜する新政権との繋がりにより、今後の経営の安定を想起させようという、投資家向けのポーズに他なりません。

 

ただ、これは、「ハーレーは全ての顧客領域における競争力を身に付けるべきである」というCEOの発言にもある通り、あらゆるセグメントで、主として巨大日本勢4社を筆頭とした各社との激しい競合に参入することを意味します。果たして、市場、お客さんは、バー&シールドをタンクに冠したレーサーレプリカを求めているのか?そこで、並み居る競合に勝てるモデルを投入できるのか?

過去の実績に目を向けてみると、1970年代のイタリア小排気量メーカーアエルマッキの買収、記憶に新しいところでは、1990年代後半のBuell、それと前後してのVR1000でのAMAスーパーバイクシリーズへの参戦と撤退、多大な投資を伴ったV-Rodシリーズの投入と昨年末の撤退、結局日の目を見ることは無かったイタリアのスポーツバイクメーカーMVアグスタの買収、マイナーですがXR1200も短命でした。そして、小排気量モデルストリートシリーズの投入と販売の低迷。。。

時代環境の違いはあるとは言え、新しい分野に進出して成功した事例は近年残念ながらありません。

 

 

それでも大きく舵を切る決断をせざるを得なかった、現在のハーレー社の苦境を表している決断ともいえると思います。

 

今年の夏、新しく投入されたミルウォーキーエイト エンジンが、中間サイズモデルソフテイルやダイナに搭載されることは、今までの流れからすればほぼ間違い無いでしょう。ただ、「ソフテイル」や「ダイナ」といった区分けが存続するかどうかはまた別の話。ショベルヘッドの時代のFLとFXといったよりザックリしたファミリー構成に戻す可能性もあります。ツインカムの時代までのように、同じ設計ベースでありながら、ケースやマウントを変え、ソフテイル用、ダイナ用と微妙に違うエンジンをいくつも造らなければならないような状況にはしたくない筈です。

スポーツスターも現在のいわゆる「ゴムスポ」は2004年モデル(2003年)の投入から14年目になります。それまでの開発周期からすると、来年は15年目、そろそろ変わってもおかしくない。

決して大成功はしていませんが、それまでのV-Rodの路線を捨ててまで、一昨年新規開発されたXG ストリート系の水冷エンジンも、このまま終わるとは考え難い。内部機構は共有しながら、外観を変え、より高級モデルの車体に載せるなんて手法は、いわばハーレーのお家芸みたいなもんです。

電動バイク、ライブワイヤーの開発が進む中、あるいは全く新しいファミリーの登場、なんてこともあるのかも知れません。

 

ユーザー側の視点から見れば、新しいものがどんどん出てきて面白い、という見方もある一方、従来のコアなファンの中からは、「ハーレーは終わった」なんてブーイングも当然出てくるのでしょう。

↑アメリカで売られているT-シャツのデザインです

 

一つ間違えれば、今までの強烈なアイデンティティーを誇るブランドから、いくつかあるモーターサイクルメーカーの一つ、になってしまう可能性だってある。

 

それでも将来を見据えて、イバラの道に踏み入れることを公表したハーレーダビッドソン。

これからの5年間、AMFからのバイバック直後の倒産の危機以来の、生き残りをかけての正念場になることは間違いなさそうです。

 

 それにしても、決算発表からホワイトハウスの訪問まで、ハーレー社の重役達はさぞかし精神的にもタフな数日間を過ごしたことでしょう。

お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

動画はまとめてこちらでも! YouTube HARLEY STYLE チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCWVoZO_GMBR8xXKhKV6H7xA

 

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